RoHS対応品でもベリリウムを含む?廃棄前の含有確認で注意したいポイント

古い電子機器や分析装置を処分する際、「RoHS対応品だからベリリウムも含まれていない」と判断してよいのでしょうか。結論からいうと、RoHS対応・RoHS適合という情報だけでは、ベリリウム不使用を確認したことにはなりません。

RoHSは、電気・電子機器に含まれる特定の有害物質を制限する制度です。しかし、製品を構成するすべての化学物質を一律に禁止する制度ではありません。廃棄や解体の前には、「規制に適合していること」と「ベリリウムを含まないこと」を分けて確認する必要があります。

RoHSとは何を制限する制度か

EUのRoHS指令は、電気・電子機器における特定有害物質の使用を制限する制度です。欧州委員会の公式情報では、現在の規制対象として次の10物質・物質群が示されています。

  • 鉛
  • カドミウム
  • 水銀
  • 六価クロム
  • ポリ臭化ビフェニル(PBB)
  • ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
  • フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)
  • フタル酸ブチルベンジル(BBP)
  • フタル酸ジブチル(DBP)
  • フタル酸ジイソブチル(DIBP)

この一覧にベリリウムは含まれていません。したがって、EU RoHSの対象範囲と条件に適合している製品でも、設計上必要な部品にベリリウム、ベリリウム銅、酸化ベリリウムなどが使われている可能性はあります。

「RoHS適合」と「ベリリウム不使用」は別の情報

表示・資料 通常確認できること ベリリウム不使用の判断
RoHS適合宣言 RoHSで制限される物質への適合 これだけでは判断できない
SDS 対象となる化学品・混合物の危険有害性や成分情報 完成品全体や全構成部品を示すとは限らない
材料証明書・ミルシート 対象材料の規格や成分 対象部品と一致すれば有力な確認資料
部品表・図面 部品番号、材質記号、構成 材質欄や注記から確認できる場合がある
メーカーの含有調査回答 指定した製品・部品の含有情報 対象型式・製造時期・回答範囲の確認が必要

「環境対応品」「有害物質フリー」といった表現も、どの物質をどの基準で確認した表示なのかを確かめる必要があります。表示の印象だけで対象物質の範囲を広げて解釈しないことが重要です。

なぜベリリウムが含まれる可能性があるのか

ベリリウムやベリリウムを含む材料には、ほかの材料では代替しにくい特性があります。たとえば、ベリリウム銅は、ばね性、強度、導電性などを生かして接点やコネクターに使われる場合があります。金属ベリリウムはX線を通しやすい特性からX線窓に、酸化ベリリウムは熱伝導性と電気絶縁性が求められるセラミックス部品に採用される場合があります。

これらはRoHSで制限される10物質とは別の観点で選定される材料です。RoHS適合という事実と、ベリリウム系材料の採用有無は両立し得ます。

廃棄前の含有確認は部品単位で行う

装置全体について「RoHS対応」と記載されていても、廃棄時に確認したいのは、実際に処理・解体する各部品の材質です。特に次の部品は、メーカー・型式・製造年・仕様によって材質が異なります。

  • X線管、X線窓、X線検出器
  • コネクター、リレー、スイッチ、ばね接点
  • 高周波・半導体機器の絶縁放熱部品
  • 交換された保守部品や追加ユニット

同じ装置シリーズでも、製造時期やオプションによって部品構成が変わることがあります。装置名だけでなく、銘板、部品番号、交換履歴まで確認すると判断しやすくなります。

確認の進め方

  1. 対象を特定する:メーカー名、型式、製造番号、製造年を記録します。
  2. 資料を集める:図面、部品表、仕様書、SDS、材料証明書、保守記録を確認します。
  3. 材質表記を探す:Be、BeCu、CuBe、BeO、Beryllium、Berylliaなどの記載を確認します。
  4. 交換履歴を照合する:現在の部品が出荷時の仕様と同じか確認します。
  5. メーカーへ照会する:製品全体ではなく、対象型式・部品番号を指定して問い合わせます。

資料が見つからない場合や、回答の対象範囲が不明な場合は、「不使用」と決めつけないことが大切です。現物を削る、割る、切断するといった方法で確認せず、写真と識別情報をそろえて専門事業者へ相談してください。

まとめ

EU RoHSが現在制限する10物質・物質群にベリリウムは含まれていません。このため、RoHS対応品であることは、ベリリウム不使用を意味しません。

廃棄前には、RoHS適合宣言だけに頼らず、装置と部品の型式、図面、部品表、材料証明書、保守記録、メーカー回答を組み合わせて確認します。分からない部品を自己判断で分解せず、ベリリウム含有機器の取り扱い経験がある専門事業者へ相談することが、安全な処理につながります。

参考資料

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