病院や画像診断施設で使われる医療用CT装置は、X線管から照射したX線を利用して人体の断層画像を作る装置です。CT装置を更新・撤去・廃棄するときに確認したい部材の一つが、X線管の窓材です。
メーカーが公開するリサイクル資料では、一部の医療用CT向けX線管ハウジングで、X線管窓にベリリウムが使われていることが確認できます。本記事では、Dunlee/Philipsの「CTR 2112 Series」と「DA 200 Series」を具体例に、装置名・X線管型番・交換履歴を確認する方法を解説します。
なお、同じCTシリーズでも搭載されるX線管は製造時期、仕様、保守交換によって異なる可能性があります。以下の製品例を、ほかの機種へ一律に当てはめることはできません。
医療用CT装置はどのように画像を作るのか
医療用CTでは、X線管が発生させたX線を患者へ照射し、体を通過したX線を検出器で測定します。X線管と検出器が患者の周囲を回転しながら多数のデータを収集し、コンピューターが断層画像や三次元画像を再構成します。
Siemens HealthineersのCT基礎資料でも、「X線管が放射線を発生させ、患者を通過したX線を検出器が電気信号へ変換する」という基本的な流れが説明されています。
X線管の内部は真空に保たれており、発生したX線を外へ取り出す部分に窓があります。ベリリウムはX線を比較的通しやすいため、窓材として採用される場合があります。
メーカー資料でベリリウムを確認できるX線管シリーズ
Philips Medical Systemsが公開しているProduct Recycling Passportでは、次のX線管ハウジングアセンブリについて、ベリリウムの使用箇所が明示されています。
| 製品・シリーズ | メーカー資料の識別情報 | ベリリウムの記載箇所 | そのほかの確認事項 |
|---|---|---|---|
| CTR 2112 Series | Identification code:CTR 2112 | X-ray Tube Window | 内部鉛遮へい、鉱物系絶縁油、総重量約95.2kg |
| DA 200 Series | Identification code:DA 200(追加の接尾辞を含む場合あり) | X-ray Tube Window | 内部鉛遮へい、鉱物系絶縁油、総重量約84~98kg |
両資料は、製品が高真空のサブアセンブリを含むこと、重量物であること、適切な処分についてDunlee/Philipsへ連絡することも示しています。つまり、ベリリウム窓だけを取り外せばよい機器ではなく、油、鉛遮へい、真空部品を含むX線管ハウジング全体として確認する必要があります。
DA 200シリーズの製品名と対応CTの例
DunleeのCT用交換X線管製品資料では、DA 200シリーズについて、さらに具体的な製品名と注文番号、対応するCTシリーズが掲載されています。
| X線管製品名 | 注文番号 | メーカー資料に掲載された対応CTの例 |
|---|---|---|
| DA 200 P40 | 4598006-53451 | GE Optimaシリーズ向け交換製品 |
| DA 200 Ultra | 9896055-88704 | GE BrightSpeed、Discovery、LightSpeed、Optimaシリーズ向け交換製品 |
ここで注意したいのは、対応CTシリーズとして掲載されていることと、個々のCT装置にそのX線管が実際に搭載されていることは同じではないという点です。購入時の純正X線管が使われている場合もあれば、保守によって別メーカーの交換X線管へ変更されている場合もあります。
したがって、「GE OptimaだからDA 200 P40が入っている」と装置名だけで断定せず、現在のX線管ハウジングにある銘板を確認してください。
CT本体の名称だけではベリリウムの有無を判断できない
中古機器や長期使用されたCT装置では、X線管が複数回交換されていることがあります。装置本体の型式と、現在搭載されているX線管のメーカー・型式・製造番号が一致するとは限りません。
処分前には、次の情報をそれぞれ分けて記録します。
- CT装置本体のメーカー、製品名、型式、製造番号、製造年
- X線管ハウジングのメーカー、製品名、型式、製造番号
- X線管の交換日、交換回数、保守会社
- 取扱説明書、サービス記録、部品納品書
- Product Recycling Passportや材料情報の有無
CT本体の銘板だけでなく、保守担当者が管理するX線管交換記録や、装置画面・サービス資料に記録された管球情報も確認すると判断しやすくなります。
通常使用と撤去・解体時の取り扱いは分けて考える
ベリリウム窓がX線管内部に組み込まれ、装置が所定の状態で使用されていることと、廃棄のためにX線管を開放・切断・破砕することは別の状況です。ベリリウム含有の記載があるからといって、通常のCT検査を受ける患者にベリリウムが接触するという意味ではありません。
一方、撤去時には、薄い窓材、真空部、絶縁油、鉛遮へい、高電圧部品、重量物としての危険性を考慮する必要があります。材質確認のためにX線管を開けたり、窓部分を削ったりしてはいけません。
撤去・処分前の確認ポイント
- 使用停止と院内手続き:放射線管理、医療機器管理、設備管理などの担当部署と調整します。
- 本体とX線管を識別:CT本体だけでなく、現在搭載されているX線管ハウジングの銘板を確認します。
- メーカー資料を照合:リサイクル資料、仕様書、サービス資料からベリリウム、鉛、油などの情報を確認します。
- 交換履歴を確認:出荷時の構成と現在の構成が同じかを確認します。
- 搬出条件を調査:装置とX線管の重量、分解範囲、搬出経路、床荷重を確認します。
- 専門事業者へ相談:写真と識別情報を提示し、分解・梱包・運搬・処理方法を決めます。
問い合わせ時に検索・提示したい固有名詞
今回確認できた製品については、次の名称を組み合わせると、メーカー資料や処分情報を探しやすくなります。
- Dunlee CTR 2112 Series Recycling Passport
- Dunlee DA 200 Series Recycling Passport
- DA 200 P40 4598006-53451
- DA 200 Ultra 9896055-88704
- GE Optima X-ray tube model
- GE BrightSpeed/Discovery/LightSpeed replacement CT tube
検索で候補が見つかっても、最終判断は現物の銘板・製造番号・保守履歴とメーカー回答を照合して行います。
まとめ
医療用CT装置では、一部のX線管窓にベリリウムが使われています。メーカーのリサイクル資料からは、Dunlee/PhilipsのCTR 2112 SeriesとDA 200 Seriesについて、X線管窓へのベリリウム使用が確認できます。
また、DA 200 P40とDA 200 Ultraは、GEの複数のCTシリーズ向け交換X線管として公開されています。ただし、対応機種名だけで実際の搭載管球を断定することはできません。CT本体と現在のX線管を別々に確認し、交換履歴とメーカー資料を照合したうえで、医療用X線装置とベリリウム含有部材に対応できる専門事業者へ相談してください。
