電子機器や制御盤を解体すると、多数のコネクター、スイッチ、リレー、ソケットが見つかります。外観は一般的な銅合金部品に見えても、その内部の導電ばねや接点にベリリウム銅が使われている場合があります。
ベリリウム銅は製品名ではなく材料の一種です。同じ用途の部品でも、りん青銅やチタン銅など別の材料が採用されることがあるため、形や色だけで含有を判断することはできません。本記事では、代表的な材種記号と確認方法を整理します。
なぜベリリウム銅が電気接点に使われるのか
コネクターの端子には、電気を通すだけでなく、相手側の端子を適切な力で保持し、その接触力を繰り返し維持する性能が求められます。ベリリウム銅は、強度、疲労特性、導電性、曲げ加工性、耐食性などを組み合わせられる銅合金です。
日本ガイシの製品資料では、ベリリウム銅の用途としてコネクター、ICソケット、スイッチ、リレー、マイクロモーター、ジャック、サーモスタット、EMIシールドなどが示されています。棒・線材の用途には、同軸コネクター、コイルばね、コンタクトプローブ、電極、レンズサスペンションなども挙げられています。
ただし、これらの機器に必ずベリリウム銅が含まれるという意味ではありません。用途例は、調査対象を絞り込むための手掛かりとして利用します。
C1720とC1751とは
| JIS系の材種表記 | 対応する代表的なUNS表記 | メーカー資料で示される特徴 | 主な用途例 |
|---|---|---|---|
| C1720 | C17200 | 高強度系 | コネクター、ICソケット、スイッチ、リレー、同軸コネクター、コイルばね |
| C1751 | C17510 | 高導電系 | コネクター、リレー、サーモスタット、コンタクトプローブ、電極 |
日本ガイシの資料では、Alloy 25がC17200・JIS C1720、Alloy 8・11がC17510・JIS C1751に対応する例が示されています。C1720は強度を重視する接点ばね、C1751は強度と高い導電性の両立を求める用途で選択される代表例です。
同じ材種でも、板、棒、線といった形状や、質別、熱処理状態によって性能が異なります。材種番号だけで製品仕様を決めつけず、図面や材料証明書まで確認してください。
部品のどこを確認するか
完成したコネクターの樹脂ハウジングに「C1720」と表示されているとは限りません。材料情報は、次の資料に記載されている場合があります。
- 部品図面の端子・コンタクト材質欄
- BOM(部品表)とメーカー部品番号
- 材料証明書、ミルシート、含有化学物質調査回答
- 製品仕様書、カタログ、環境資料
- 購入仕様書と変更履歴
検索時には「メーカー名+部品番号+material」「contact material」「C1720」「C17200」「CuBe」「BeCu」などを組み合わせると、候補資料を探しやすくなります。
色や携帯型XRFだけで判定しない
ベリリウム銅、りん青銅、黄銅などは表面処理や使用状態によって外観が変わります。金色や銅色だからベリリウム銅とは限りません。また、端子にはニッケル下地や金・すずめっきが施されることがあり、表面からの測定結果が母材の組成をそのまま表さない場合があります。
ベリリウムは軽元素であり、分析装置の方式、検出範囲、試料形状、表面処理によって確認可否が変わります。分析を依頼するときは「金属判別」だけでなく、ベリリウムの定量が必要であることを伝え、適切な分析方法と前処理を専門機関に確認してください。現場で端子を削って粉を出す方法は避けます。
廃棄・処理前の確認手順
- 対象を記録する:装置名、メーカー、型式、製造番号、製造年を確認します。
- 交換部品を確認する:保守履歴から、出荷時と現在のコネクターが同じかを確かめます。
- 部品番号を拾う:基板、コネクター、リレーなどの識別番号を写真とともに残します。
- 資料を照合する:図面、BOM、材料証明書、メーカー回答で端子材を確認します。
- 状態を伝える:完成部品のままか、破損・切断・研磨くずがあるかを処理事業者へ伝えます。
ベリリウム銅部品を含む可能性がある装置を処分する際は、一般的な金属スクラップとして混合する前に情報を整理することが重要です。後工程で破砕、切断、研磨、溶解が行われる可能性も含め、受入条件を処理事業者へ確認してください。
まとめ
ベリリウム銅は、接触力、疲労特性、導電性などが求められるコネクターや接点ばねに使われることがあります。代表的な材種には高強度系のC1720(C17200)や高導電系のC1751(C17510)があります。
ただし、用途や外観だけでは含有を断定できません。部品番号、図面、BOM、材料証明書、メーカー回答を照合し、分からない部品を削ったり壊したりせず、専門事業者へ相談することが適切な処理につながります。
